痛風・高尿酸血症
痛風・高尿酸血症の重要ポイント
- 診断基準:尿酸値 7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断
- 治療目標:尿酸値 6.0mg/dL以下を維持
- 放置のリスク:痛風発作だけでなく、腎障害・心筋梗塞・脳卒中のリスクも
- 治療法:生活習慣改善 + 必要に応じて薬物療法
- 予後:適切な治療で健康な生活を送ることができます
こんな症状・状況があれば受診をお勧めします
- 健康診断で尿酸値7.0mg/dL以上を指摘された
- 足の親指の付け根が突然痛くなったことがある
- 関節が腫れて熱を持っている
- 家族に痛風の人がいる
- お酒(特にビール)をよく飲む
- 肥満や内臓脂肪が気になる
- プリン体の多い食事(レバー、干物など)が好き
→ 1つでも当てはまる方は、お早めにご相談ください。
2019年の調査では、日本の痛風患者は125万人、予備軍の高尿酸血症は1,000万人にのぼります。放置すると腎臓や心血管疾患のリスクが高まりますが、適切な治療で健康な生活を送ることができます。
痛風・高尿酸血症とは?
まず、基本となる2つの用語を理解しましょう。
高尿酸血症
血液中の「尿酸」という物質の濃度が、基準値を超えて高い状態が続いていることを指します。具体的には、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると診断されます。この段階では、自覚症状はほとんどありません。
痛風
高尿酸血症が続くことで、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、主に関節に沈着します。この結晶が何らかのきっかけで剥がれ落ちると、白血球がそれを異物とみなして攻撃し、激しい炎症反応が起こります。これが「痛風発作」です。
豆知識:他の多くの哺乳類は体内で尿酸を「アラントイン」という無害な物質に分解する酵素(尿酸酸化酵素)を持っています。しかし、ヒトはこの酵素の機能が失われているため、もともと体内に尿酸が溜まりやすく、高尿酸血症や痛風になりやすいという背景があります。ちなみに、ティラノサウルスの化石においても痛風特有の骨の浸食跡が見つかっており、痛風は古代から続く病とも言えるかもしれません。
どんな症状が出るの?放置すると危険!
高尿酸血症が進行すると、以下のような症状や病態が現れることがあります。
- 痛風発作:足の親指の付け根などに突然の激痛、赤み、腫れ
- 痛風結節:耳たぶ、肘、足首などにコブができる
- 腎障害:腎機能の低下。進行すると透析が必要になることも
- 尿路結石:背中や脇腹に激しい痛み
合併症のリスク
高尿酸血症は高血圧、動脈硬化、メタボリックシンドロームを合併しやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。2020年から始まった循環器病対策推進基本計画にも、循環器疾患のリスクとなる生活習慣病として記載されています。
重要ポイント
痛風は「関節が痛いだけ」の病気ではありません。放置すると、腎臓、心臓、血管など全身に影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な治療で健康な生活を送ることができます。
なぜ尿酸値が高くなるの?
高尿酸血症は、体内の尿酸の「生成」と「排出」のバランスが崩れることで起こります。大きく分けて2つのタイプがあり、ご自身がどちらのタイプに近いかを知ることが、適切な治療薬の選択につながります。
- 生成過剰タイプ:プリン体の多い食品、アルコール、肥満などで尿酸が作られすぎる
- 排泄低下タイプ:腎機能低下などで尿酸を体外へ出せない(日本人の多くはこのタイプ)
治療法:発作時の対応と予防
治療の目的は「痛風発作の再発を予防し、腎障害や心血管病などの合併症を防ぐこと」です。治療は、目の前の痛みを抑える「痛風発作時の治療」と、根本原因を改善する「長期的な尿酸値の管理」の2つの柱で進められます。
1. 痛風発作が起きたら(緊急対応)
痛風発作が起きた場合は、炎症と痛みを速やかに抑えることが最優先です。
- セルフケア:患部を冷やす、心臓より高くして安静、禁酒
- 薬物療法:NSAIDs(抗炎症薬)、コルヒチン、ステロイドなどを医師が適切に処方します
- 早期受診:できるだけ早く医療機関を受診してください
【注意】発作中の自己判断は危険です
痛風発作の最中に自己判断で尿酸値を下げる薬(アロプリノールやフェブキソスタットなど)を開始したり、増量したりしてはいけません。血清尿酸値の急激な変動は、かえって発作を悪化させたり長引かせたりする可能性があります。
2. 発作を予防する長期治療
長期的な治療の目標は、「血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持すること」です。これにより、体内に溜まった尿酸結晶を溶かし、発作の再発を防ぎます。
生活習慣の改善
- 食事:プリン体の多い食品(レバー、干物、魚卵)を控える。果糖飲料も注意
- 飲酒:節酒(ビール500mL、日本酒1合程度まで)。休肝日を設ける
- 水分:1日2L以上を目標に
- 運動:ウォーキングなど適度な有酸素運動
薬物療法
生活習慣改善だけでは目標値を達成できない場合、尿酸降下薬を使用します。
薬物治療の開始基準
合併症あり:8.0mg/dL以上で治療開始を検討
合併症なし:9.0mg/dL以上で治療開始を検討
治療目標:6.0mg/dL以下を維持
- 尿酸生成抑制薬:尿酸を作りすぎるタイプに適しています
- 尿酸排泄促進薬:尿酸を出せないタイプに適しています
※ 患者さんの病型や腎機能に応じて、医師が最適な薬を選択します。
コルヒチンカバー:尿酸降下薬の開始時は、痛風発作が起きやすくなるため、最初の数ヶ月間コルヒチンを併用して発作を予防します。
診断のための検査(補足)
診断には血液検査(尿酸値、腎機能)、尿検査、画像検査などを行います。検査結果に基づき、患者さんに最適な治療薬を選択します。
当院での検査について
当院では尿検査を当日実施できます。血液検査(尿酸値、腎機能など)は外部検査機関に依頼しており、結果は後日(通常数日後)のご説明となります。検査結果が出ましたら、病型分類や治療方針について詳しくご説明いたします。専門的な判断は医師にお任せください。
よくあるご質問 (FAQ)
Q.痛風発作が起きたらどうすればいいですか?
A.応急処置:患部を冷やす、安静、禁酒。早めに受診してください。
【重要】尿酸降下薬を服用中の方は継続。未服用の方は発作中に開始しないこと。
Q.尿酸値を下げるには、どのような食事をすればいいですか?
A.①肥満解消(最重要)、②プリン体制限(レバー、干物、魚卵)、③水分2L/日、④節酒、⑤適度な運動。
Q.痛風・高尿酸血症は、遺伝しますか?
A.はい、遺伝的要因が関与します。尿酸トランスポーター(特にABCG2)の遺伝子の個人差により、尿酸が溜まりやすい体質があります。ただし、生活習慣の改善で発症リスクを大幅に下げられます。家族歴がある方は定期的な検査をお勧めします。
院長より
痛風・高尿酸血症は、適切な治療を行えば、症状をコントロールし、健康な生活を送ることができる病気です。放置せず、早めに対処することが大切です。
当院では、総合内科・内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医である私が、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療をご提案いたします。必要な検査を適切に実施し、結果に基づいた丁寧な説明と治療方針の決定を心がけています。
国分寺駅南口徒歩3分とアクセスも良く、平日夜20時まで、土日も診療していますので、お仕事帰りや休日など、ライフスタイルに合わせて無理なく通院を継続できます。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。多摩総合医療センター出身の医師として、地域の皆様の健康をサポートさせていただきます。
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