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肥満症・メタボリックシンドローム

はじめに:肥満症は治療が必要な「病気」です

「肥満」と「肥満症」の違い

肥満:単に体重が多い状態
肥満症:医学的な治療が必要な病気

日本では、BMI 25以上+健康障害がある状態を「肥満症」と定義しています。肥満症を放置すると、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まります。

BMI(体格指数)とは?

BMIは、身長と体重から計算される肥満度を表す指標です。ご自身のBMIを計算してみましょう。
計算式:BMI = 体重(kg) ÷ {身長(m)}²
例:体重70kg、身長170cm(1.7m)の場合
BMI = 70 ÷ (1.7 × 1.7) = 70 ÷ 2.89 =24.2

専門家による正しい診断と治療が重要です

当院では、内分泌・代謝の専門医が肥満症・メタボリックシンドロームの診療を行っています。HbA1cの迅速検査や多摩総合医療センターとの連携体制も整えています。
国分寺駅南口から徒歩3分 | 平日夜8時まで・土日診療

診断基準:肥満症とメタボリックシンドローム

肥満症の診断基準

2つのステップで診断します。

  1. 肥満の判定
    まず、BMIが25 kg/m²以上であるかを確認します。
  2. 健康障害の有無
    次に、肥満が原因で起こる、あるいは悪化する健康障害が1つ以上ある場合に「肥満症」と診断されます。
診断の基準となる健康障害(11項目)
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 心筋梗塞・狭心症
  • 脳梗塞
  • 脂肪肝
  • 月経異常・不妊
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 膝・股関節の変形性関節症
  • 肥満関連腎臓病
肥満の重症度分類

日本肥満学会では、BMI(体格指数)の値によって肥満の程度を4段階に分類しています。

分類 BMIの範囲 備考
肥満(1度) 25以上 30未満  
肥満(2度) 30以上 35未満  
肥満(3度) 35以上 40未満 高度肥満
肥満(4度) 40以上 高度肥満
ポイント
  • 高度肥満:BMI 35以上(肥満3度・4度)
  • 日本の基準:日本人は軽度の肥満でも健康障害が起きやすいため、WHO基準(BMI 30)より厳しいBMI 25を採用しています

メタボリックシンドロームとは

内臓脂肪の蓄積に加えて、「高血圧」「高血糖」「脂質異常」のうち2つ以上を合併した状態です。自覚症状がほとんどないまま動脈硬化が進行するため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。

診断基準
必須項目:内臓脂肪蓄積

ウエスト周囲径(腹囲)で判定します。

  • 男性:85cm以上
  • 女性:90cm以上

※内臓脂肪面積100cm²以上に相当。立位、軽呼気時、臍レベルで測定します。

選択項目:以下の3項目のうち2項目以上
項目 基準値

1) 脂質異常

トリグリセライド(中性脂肪) ≧150mg/dL
かつ/または
HDLコレステロール <40mg/dL
2) 血圧高値 収縮期血圧(上) ≧130mmHg
かつ/または
拡張期血圧(下) ≧85mmHg
3) 高血糖 空腹時血糖値 ≧110mg/dL
診断に関する注意点
  • 高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血圧、糖尿病に対する
    薬物治療中の場合は、それぞれの項目に含めます。
  • 総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は診断基準に含まれませんが、別途「脂質異常症」としての管理が必要です。
  • 腹部CT検査で内臓脂肪面積100cm²以上が確定診断となりますが、日常臨床ではウエスト周囲径をスクリーニングとして使用します。

原因:なぜ肥満症になるのか

大切な考え方

肥満症は「意志の弱さ」の問題ではありません。遺伝的要因、環境要因、社会的要因が複雑に関わる病気です。

主な原因:

  • 生活習慣:過食、運動不足、不規則な生活
  • 遺伝的要因:BMIに関連する遺伝子が100個以上発見されており、「太りやすい体質」は確かに存在します
  • 社会的要因:肥満への偏見(スティグマ)が治療を妨げることがあります

だからこそ、専門家による適切な評価と治療が重要です。

治療について

当院の治療方針

患者さん一人ひとりに合わせた治療を、決めつけや偏見なく提供します。
生活習慣改善 → 肥満に伴う健康障害の評価および治療介入 → 専門医療機関への紹介という段階的なアプローチです。

1.生活習慣の改善(基本治療)

  • 食事療法:現在の体重の5〜10%を3〜6か月で減らすことが目標です。極端な食事制限ではなく、栄養バランスの取れた食事(主食・主菜・副菜)を続けることが大切です。
  • 運動療法:ウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットなどの筋力トレーニングを組み合わせます。
    1日30分以上、週150分以上が目安です。
  • 行動療法:「早食い」や「間食」などの食行動のクセを見直し、改善していきます。

2.薬物療法

生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合、GLP-1受容体作動薬やマジンドールなどの肥満症治療薬があります。ただし、副作用もあり慎重な判断が必要です。
当院では、薬物療法が必要と判断される場合、専門の医療機関をご紹介いたします。

3.減量・代謝改善手術

内科的治療で効果が不十分な高度肥満症の方には、「減量・代謝改善手術」という選択肢があります。体重減少だけでなく、糖尿病などの関連疾患も劇的に改善することがあります。

保険適用の条件

条件1:6か月以上の内科的治療で十分な効果が得られない場合
条件2(いずれか)

  • BMIが35 kg/m²以上で、関連する健康障害(糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のいずれか)を1つ以上持つ
  • 【2020年改定】BMIが32.5~34.9 kg/m²で、HbA1cが8.4%以上の糖尿病に加え、治療抵抗性の重症な高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のいずれか1つ以上を合併している
当院の役割

当院では、肥満症の総合的な評価と生活習慣指導を行います。

  • 睡眠時無呼吸症候群、糖尿病などの健康障害の評価
  • 生活習慣改善のサポート
  • 必要時は多摩総合医療センター等の専門医療機関へご紹介
  • 手術後の継続的なフォローアップ

よくあるご質問 (FAQ)

Q.肥満症は遺伝しますか?

A.はい、肥満症には遺伝的要因が関与します。日本人を対象とした研究では、BMIに関連する遺伝子が100個以上発見されており、「太りやすい体質」は確かに存在します。
ただし、多くの場合は単一の遺伝子だけで決まるのではなく、複数の遺伝的素因と、食事や運動などの環境要因が複雑に組み合わさって発症します。稀に、特定の遺伝子変異が直接の原因となる遺伝性肥満症候群(プラダー・ウィリー症候群など)もあります。
重要なポイント:遺伝的要因があっても、生活習慣の改善によって予防や治療は十分に可能です。遺伝は「運命」ではなく、適切な対策で管理できる「リスク因子」の一つです。

Q.メタボリックシンドロームを放置するとどうなりますか?

A.自覚症状がほとんどないまま、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」として深刻な病気を引き起こします。心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患の発症リスクは約2〜3倍、死亡率も約1.5倍に増加することがわかっています。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積によって動脈硬化が加速し、さらに糖尿病、腎臓病、心不全などが連鎖的に悪化していきます。個々の検査値は「やや高め」程度でも、それらが重なることでリスクが相乗的に高まるのが特徴です。
放置すると、10〜30年後に脳卒中や心筋梗塞で倒れたり、透析が必要になったり、要介

Q.どのような運動をすれば良いですか?

A.有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが最も効果的です。運動は単にカロリーを消費するだけでなく、代謝機能を改善する重要な治療法です。

おすすめの運動
  • 有酸素運動:ウォーキング、水泳、自転車など(内臓脂肪を減らす)
  • 筋力トレーニング:スクワット、ダンベル運動など(基礎代謝を上げる)
  • 目安:1日30分以上、週150分以上。細切れ(10分×3回)でもOK
  • 日常生活:階段を使う、一駅分歩くなど「プラス10分」を意識

注意点:膝や腰に痛みがある方、高度肥満の方は水中運動がおすすめです。運動開始前に医師に相談し、心電図などのメディカルチェックを受けることが大切です。

Q.肥満症の治療で手術をすることもありますか?

A.はい。食事・運動療法や薬物療法といった内科的治療を6か月以上行っても十分な効果が得られない重度の肥満症(例:BMI 35 kg/m²以上など)の場合、「減量・代謝改善手術」が有効な治療法として認められています。手術には厳格な適応基準があり、専門医との十分な相談が必要です。

Q.肥満症(BMI 25以上)と高度肥満症(BMI 35以上)は何が違うのですか?

A.単に体重の違いだけでなく、命に関わる危険性の切迫度が大きく異なります。
肥満症:主に動脈硬化が進行し、10〜30年かけて心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。「将来的な生命リスク」が中心で、多くの場合、すぐに生死に関わる状態ではありません。
高度肥満症:より切迫した危険があり、直接的に生命を脅かす病態を合併しやすくなります。睡眠時無呼吸症候群による呼吸不全、心不全、肺梗塞(突然死の原因)、腎不全(透析が必要)などが起こりやすく、生命予後は不良とされています。
そのため、高度肥満症では生活習慣改善だけでなく、呼吸障害や心不全の管理を優先し、場合によっては減量手術を含めた強力な治療介入が必要になります。

院長よりメッセージ

肥満は、ご自身の努力だけで解決するのが非常に難しい病気です。私たちは、社会的な偏見や個人的な葛藤が、助けを求めることをいかに難しくするかを理解しています。私たちの使命は、患者さんが何の気兼ねもなく効果的な医療を受けられる、温かくサポート的な環境を提供することです。
自己流のダイエットで思うような結果が出ず、悩んでいる方も少なくないでしょう。しかし、肥満症は専門的な知識に基づいた適切な治療で改善することが可能です。当院では、内分泌・代謝の専門医が、患者さん一人ひとりの体の状態や生活背景を丁寧に診察し、最適な治療プランをご提案します。
特に、睡眠時無呼吸症候群や糖尿病などの肥満に関連する健康障害を正確に評価し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら、患者さんにとって最善の治療を提供することを大切にしています。減量手術が必要な方には、適切な専門施設へのご紹介と、その後の継続的なサポートも行います。
当院は国分寺駅南口から徒歩3分とアクセスしやすく、平日は夜8時まで、土日も診療を行っております。減量に苦しんでいる方、健診でメタボリックシンドロームを指摘された方は、どうぞお一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。私たちがあなたの健康を全力でサポートします。

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