シックデイとは?
糖尿病の方が体調を崩したときに知っておきたいこと
風邪や胃腸炎などで体調を崩したとき、糖尿病の方は普段とは異なる注意が必要です。この状態を「シックデイ」と呼びます。食事が十分に摂れない状況でも、薬を自己判断で中断してしまうことはとても危険です。この記事では、シックデイ中の基本的な対処法や受診の目安を、糖尿病診療ガイドラインをもとにわかりやすく解説します。
1.シックデイとは何か
糖尿病の患者さんが、感染症などによる発熱・下痢・嘔吐・食欲不振のために食事が十分に摂れず、血糖コントロールが普段よりも難しくなった状態を「シックデイ」といいます。
体調が悪いとき、体はストレスへの反応としてカテコールアミンやコルチゾールなどのホルモンを分泌します。これらのホルモンはインスリンの働きを妨げる作用があるため、食事が十分に摂れていない状況でも血糖値が上がりやすくなります。その結果、高血糖・脱水・ケトーシス(血液が酸性に傾く状態)を引き起こすことがあり、特別な対応が必要です。
2.シックデイ中の基本的な対応
水分と糖分の補給を心がける
脱水を防ぐため、十分な水分を摂ることが大切です。食事が難しい場合でも、お粥・麺類・果汁などの摂取しやすい形で糖分とエネルギーを補うようにしましょう。日ごろから体重を測定しておくことで、体重の変化から脱水の程度を推定する目安にもなります。
血糖値を頻回に測定する
シックデイ中は、できるだけ血糖自己測定を頻繁に行うことが推奨されています。血糖値やケトン体の状況を把握することで、受診のタイミングを判断しやすくなります。
3.薬はどうする?自己判断で中断しないことが大切
「食事が摂れないから」という理由で薬やインスリンを自己判断で中断することは大変危険です。薬の種類によって対応が異なりますので、必ず事前に主治医に確認しておきましょう。
インスリンを使用している方
中間型または持効型インスリン注射の継続を原則とします。追加インスリンは食事量や血糖値、ケトン体の状況に応じて調整します。頻回に血糖値を測定することが大切です。
経口血糖降下薬を使用している方
薬剤の種類によって対応が異なります。主な目安は以下のとおりです(必ず主治医の指示に従ってください)。
- ビグアナイド薬(メトホルミンなど):シックデイの間は中止するよう指導されています
- SGLT2阻害薬:シックデイの間は中止するよう指導されています
- α-グルコシダーゼ阻害薬:消化器症状が強いときには中止します
- インスリン分泌促進薬(SU薬・グリニド薬):食事摂取が不良な場合は調整が必要なため、早めに医療機関に連絡することが望ましいとされています
- チアゾリジン薬:シックデイの間は中止することが可能です
- インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬など):現在のところ統一されたコンセンサスが得られていません。血糖自己測定値を参考にしながら、主治医にご確認ください
- イメグリミン:中止が望ましいとされています
4.こんなときは早めに受診を
以下の状態がみられる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 発熱・消化器症状(嘔吐・下痢など)が強いとき
- 24時間にわたって経口摂取ができない、または著しく少ないとき
- 血糖値が350mg/dL以上の状態が続くとき
- 意識状態の悪化がみられるとき
来院時には尿のケトン体測定が行われます。インスリンや経口血糖降下薬の使用量は、病状や食事・水分の摂取状況などを踏まえて、医療機関が個別に判断します。状態によっては、緊急入院を連携医療機関に依頼させていただく可能性もあります。
5.日ごろから備えておくこと
シックデイは突然やってきます。いざというときに慌てないよう、日ごろから以下を準備しておきましょう。
- 主治医にシックデイ時の対応方針(薬の調整・受診タイミングなど)を事前に確認しておく
- 血糖自己測定の習慣をつけておく
- 自己判断でインスリンや薬を中断しないよう、日ごろから意識しておく
- 毎日の体重測定を習慣にして、脱水の目安を把握できるようにしておく
6.まとめ
- 発熱・嘔吐・下痢などで食事が摂れない状態を「シックデイ」と呼ぶ
- シックデイ中はインスリンや薬を自己判断で中断せず、主治医の指示に従うことが重要
- 水分と糖分の補給を心がけ、脱水を防ぐ
- 症状が強い・血糖が著しく高い・意識が変化するなどの場合は速やかに受診する
- 日ごろから主治医にシックデイ対応の方針を確認し、備えておく
シックデイや血糖コントロールについてご不安な方、薬の調整について相談したい方は、お気軽に当院へご相談ください。当院では、糖尿病や生活習慣病についてのご相談を受け付けています。受診をご希望の方は、ホームページの予約案内もご確認ください。
免責・注意書き
この記事は、一般的な医療情報の提供を目的として作成しています。記載している内容は、症状や病気について理解を深めるための参考情報であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。
実際の症状、検査結果、治療の必要性や治療内容は、年齢、体質、持病、服薬状況などによって異なります。気になる症状がある場合や、健診結果について不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
当記事は、作成時点で参照した資料にもとづいて作成していますが、医療情報は今後更新されることがあります。最新の情報やご自身に適した対応については、医師の診察のもとでご確認ください。
