メニュー

夜勤のある方と糖尿病

[2026.04.01]

―生活リズムの乱れが血糖に与える影響と日常でできること―

夜勤やシフト勤務をしながら糖尿病の管理に不安を感じている方は少なくありません。昼夜が逆転した生活は体内時計に影響し、血糖コントロールをむずかしくすることが報告されています。この記事では、夜勤が体に与える影響と、日常生活で取り組みやすいポイントをわかりやすく整理します。

1. まず知っておきたいこと:夜勤と体内時計

交代勤務(シフトワーク)とは、勤務時間が特定の時間帯に固定されず、複数の勤務時間帯に移動する形態の勤務を指します。国内の交代制勤務者は2012年の調査で638万人に達し、その後も増加したと推定されています。
私たちの体には「体内時計(概日リズム)」が備わっており、脳の視交叉上核を中心とした「中枢時計」と、各臓器に存在する「末梢時計」から構成されています。光や食事などの外的刺激により1日のリズムが調整され、日中はエネルギーを利用し、夜間はエネルギーを貯蓄するというリズムが形成されています。夜勤では光刺激と食事刺激のタイミングにずれが生じ、「概日ミスアライメント(circadian misalignment)」という状態に陥ることがあります。

2. 夜勤で起こりやすい体の変化

夜勤によって総睡眠時間は通常1〜4時間程度短縮され、睡眠の質が低下することが知られています。睡眠不足は食後血糖の上昇にも関与するとされています。また、夜間はインスリン感受性が低くなるため、深夜の摂食では同じ量の食事でも血糖値が上がりやすく、体脂肪も蓄積されやすくなることが報告されています。そのほか、胃腸障害・倦怠感・月経不順など多彩な症状が現れることもあります。

3. 中長期的に注意したいこと

交代勤務の健康リスクは中長期にわたることも報告されています。循環器疾患・高血圧は夜勤開始後約10年から、糖尿病・脂質異常症は約20年後から発症しやすくなるとされています。また、概日ミスアライメントは炎症マーカー(CRP)の上昇とも関連しており、慢性炎症を介して心血管疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。国際がん研究機関(IARC)は2007年に「概日リズム障害を伴う交代勤務」を発がんリスクの分類(Group 2A)に位置づけています。

4. 日常生活で取り組みやすいこと

食事のポイント

  • 深夜0〜6時ごろの摂食はできるだけ避けることが望ましく、やむをえない場合は400kcal程度の低GI(グリセミックインデックス)食品を選ぶことが勧められています。
  • 野菜を先に食べる「ベジファースト」は食後血糖の上昇を抑えるとされています。コンビニ食では①低GI主食(もち麦・玄米おにぎりなど)②高たんぱく主菜(サラダチキン・ゆで卵など)③野菜(サラダ・野菜スープなど)の3点セットが参考になります。
  • 夜勤明けは活動量が減りエネルギーが脂肪として蓄積されやすいため、高エネルギーの食事は控え、消化のよい軽めの内容にすることが望ましいとされています。

生活リズムのポイント

  • 朝食の摂取は体内時計のリセットに役立ちます。トリプトファンを含む食品(卵・牛乳・大豆製品・バナナなど)を朝食にとると、睡眠ホルモン(メラトニン)の生成につながるとされています。
  • 起床後1時間以内に15〜30分程度の屋外日光浴が効果的とされており、体内時計のリセットや睡眠の質の向上が期待できます。

運動・活動のポイント

  • こまめな身体活動や長時間の座位を中断することが、血糖管理に有効とされています。睡眠不足の状態でも短時間の活動を取り入れることで、食後血糖の上昇を抑えられる可能性があります。

5. 受診や相談を考える目安

以下のような状況がある場合は、医師や医療スタッフへご相談ください。

  • 夜勤のある生活の中で血糖コントロールが不安定になっていると感じるとき
  • 服薬のタイミングが守りにくくなっているとき、または低血糖が心配なとき(夜勤では服薬管理が複雑になる場合があることが報告されています)
  • 睡眠の問題(眠れない・日中の強い眠気など)が続いているとき

6. まとめ

  • 夜勤による体内時計の乱れ(概日ミスアライメント)は血糖コントロールに影響することが報告されています。
  • 深夜の摂食はインスリン感受性の低下を招き、血糖値が上がりやすくなることがあります。
  • 食事・運動・生活リズムの工夫で、夜勤の中でも血糖管理に取り組むことができます。
  • 服薬管理や体調管理に不安がある場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。

夜勤のある生活の中で血糖管理に不安を感じている方や、健診で血糖値・HbA1cを指摘された方は、早めに医療機関へご相談ください。当院では、糖尿病や生活習慣病についてのご相談を受け付けています。受診をご希望の方は、ホームページのご案内や予約ページもご確認ください。

免責・注意書き

この記事は、一般的な医療情報の提供を目的として作成しています。記載している内容は、症状や病気について理解を深めるための参考情報であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。実際の症状・検査結果・治療内容は、年齢、体質、持病、服薬状況などによって異なります。気になる症状がある場合や健診結果に不安がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。当記事は作成時点で参照した資料にもとづいており、医療情報は今後更新されることがあります。最新の情報やご自身に適した対応については、医師の診察のもとでご確認ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME