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糖尿病と歯周病の関係とは?互いに影響し合う理由と受診の目安

[2026.04.01]

糖尿病のある方や、歯ぐきの腫れ・出血が気になっている方に向けて、糖尿病と歯周病の関係についてご説明します。この二つの病気は互いに影響し合うことが知られており、口のケアが全身の健康管理にも関わる可能性があります。日々のお口のケアや医療機関への相談を考える上で、ご参考いただければ幸いです。

歯周病とはどんな病気か

歯周病は、歯の周囲に蓄積した細菌が引き起こす炎症性疾患です。「歯肉炎」と「歯周炎」に大きく分けられます。

歯肉炎は、炎症が歯ぐき(歯肉)だけにとどまっている段階です。適切なブラッシングによって回復が期待できる状態とされています。一方、歯周炎は炎症が歯を支える骨(歯槽骨)にまで及び、支持組織の破壊が進んだ状態を指します。進行すると、最終的には歯を失う原因になることもあります。

歯周炎が進行すると、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなっていきます。この溝の深さが4mm以上になると、病的な状態とみなされます。

厚生労働省が実施した令和4年度の歯科疾患実態調査では、歯肉に歯周病の所見を有する方の割合は40歳以上で約40%以上に及ぶとされています(糖尿病診療ガイドライン2024)。歯周病は決してまれな病気ではなく、多くの成人に関わる疾患です。

歯周病は自覚症状が出にくいことが特徴の一つです。「歯ぐきが少し腫れている気がする」「ブラッシングで血が出る」「口の中に違和感がある」といった変化に気づいた時点で、すでに一定程度進行していることもあります。

糖尿病のある方と歯周病のリスク

糖尿病と歯周病の間には深い関連性があることが、多くの研究で指摘されています。糖尿病のある方は、そうでない方に比べて歯周病にかかりやすく、進行しやすい傾向があるとされています。

糖尿病診療ガイドライン2024では、喫煙と糖尿病が「歯周病進行の代表的なリスクファクター」として位置づけられています。また、血糖コントロールの指標であるHbA1cが7.0%以上の糖尿病患者は、歯周病の進行リスクが最も高いグループ(Grade C)に分類されることが示されています。

さらに、HbA1cが6.5%以上の2型糖尿病患者では、歯周炎の発症や歯槽骨吸収のリスクが高まるとされており、血糖コントロールの状態と歯周病の状態は密接に関連していると考えられています(糖尿病診療ガイドライン2024)。

なぜ互いに影響し合うのか

糖尿病と歯周病の間には、双方向の関係があることが現在の研究でコンセンサスとなっています。

糖尿病が歯周病に影響するとされる仕組み

高血糖の状態が続くと、体の免疫機能が低下し、細菌への抵抗力が弱まることがあります。また、糖尿病では唾液の分泌が減少しやすく、口腔内を清潔に保つ「自浄作用」が低下すると考えられています。さらに、糖尿病による血管への影響から口腔内の血流が悪化することで、細菌が増殖しやすい環境が生まれる可能性があります。

加えて、高血糖に伴う慢性的な炎症は、炎症を抑制する仕組みを妨げ、歯周組織の破壊を促進させる要因になりうるとされています(日本臨床2025、糖尿病診療ガイドライン2024)。

歯周病が血糖コントロールに影響するとされる仕組み

歯周病では、歯周組織に慢性的な炎症が持続します。この炎症によって産生されるTNF-α(腫瘍壊死因子)などの物質が、インスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」を高める方向に作用することが知られています(糖尿病ケア2025-01、日本臨床2025)。

その結果として、歯周病の炎症が全身の慢性炎症状態を悪化させ、血糖コントロールにも影響を及ぼす可能性があると考えられています。このように、糖尿病と歯周病は互いに悪影響を与え合う「悪循環」を形成することがあるとされています。

歯周治療と血糖コントロールの関係

近年、歯周病の治療が血糖コントロールにどのような影響を与えるかについて、研究が積み重ねられています。

糖尿病診療ガイドライン2024では、「2型糖尿病において歯周治療は血糖コントロールの改善に有効であり推奨される」というステートメントが、**推奨グレードA(合意率90%)**として掲載されています。これは、日本歯周病学会のガイドラインとも見解が一致するものです。

2022年のCochrane系統的レビューを含む複数の研究をまとめたメタ解析では、歯周基本治療によってHbA1cが約0.5%低下する可能性が示されています(糖尿病診療ガイドライン2024)。また、日本臨床2025では0.4〜0.5%程度の改善が示唆されるとされています。歯周組織の炎症をコントロールすることで全身の炎症状態が改善し、インスリン抵抗性の改善につながることが、その背景メカニズムとして考えられています。

なお、糖尿病診療ガイドライン2024内では、研究によって結果が一致しない報告もあることが示されています。糖尿病のある歯周病患者は、糖尿病の治療と歯周病の治療を同時に行っていくことがよりよい血糖コントロールにつながると考えられています(糖尿病ケア2025-01)。

日常生活で気をつけたいこと

歯周病の予防・管理の基本は、毎日のブラッシングによるプラーク(歯垢)の除去です。プラークは除去しなければ24時間以内に再び蓄積し始めるとされており(UpToDate 2025)、日々のケアの継続が重要です。

また、定期的に歯科を受診し、プロによるクリーニングや歯周ポケット内の清掃(スケーリング・ルートプレーニング)を受けることが推奨されています(糖尿病診療ガイドライン2024)。

糖尿病のある方については、一般の方よりも短い間隔での定期受診が望ましいとされており、目安として3ヶ月以内での受診が示されています(糖尿病診療ガイドライン2024)。また、糖尿病のコントロール状態によっては、内科主治医から歯科への全身状態に関する情報が共有されるケースもあるとされています(糖尿病診療ガイドライン2024)。

さらに、歯の健康を保つことは、食べ物をよく噛む力(咀嚼機能)の維持にもつながります。食事療法を継続する上でも健康な歯は重要な役割を果たしており、特に高齢の方では口腔の健康が全身の健康に深く関わることが指摘されています(糖尿病ケア2025-01)。

受診や相談を考える目安

以下のような状態が気になっている方は、歯科または内科・糖尿病内科への相談をご検討ください。

  • 歯ぐきが腫れている、または出血しやすいと感じている
  • ブラッシングのときに血が出ることがある
  • 口の中に違和感や口臭が気になっている
  • 健診や通院中に血糖値やHbA1cを指摘されている
  • 糖尿病と診断されているが、定期的な歯科受診をしていない

歯周病は自覚症状が出にくい疾患でもあります。定期的に口腔内の状態を確認しておくことが、歯の健康を守るだけでなく、全身の健康管理につながる可能性があります。

まとめ

  • 歯周病は、歯の周囲への細菌感染によって起こる炎症性疾患で、進行すると歯を支える骨まで影響が及びます。
  • 糖尿病のある方は歯周病にかかりやすく、進行しやすい傾向があるとされています。特に血糖コントロールが良好でない状態ではそのリスクが高まります。
  • 歯周病の炎症により産生される物質がインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールに影響を与える可能性があると考えられています。
  • 歯周治療が2型糖尿病の血糖コントロールの改善に有効である可能性が示されており、糖尿病診療ガイドライン2024では推奨グレードAとして記載されています
  • 毎日のブラッシングと定期的な歯科受診が、歯周病の予防・管理の基本です。

気になる症状がある方へ

歯ぐきの腫れや出血が気になる方、健診で血糖値やHbA1cを指摘されている方は、お気軽に医療機関へご相談ください。糖尿病や生活習慣病に関するご相談、歯科への紹介など、必要に応じてご対応しております。受診をご希望の方は、当院ホームページの予約案内もご確認ください。

免責・注意書き

この記事は、一般的な医療情報の提供を目的として作成しています。
記載している内容は、症状や病気について理解を深めるための参考情報であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。

実際の症状、検査結果、治療の必要性や治療内容は、年齢、体質、持病、服薬状況などによって異なります。
気になる症状がある場合や、健診結果について不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。

当記事は、作成時点で参照した資料にもとづいて作成していますが、医療情報は今後更新されることがあります。
最新の情報やご自身に適した対応については、医師の診察のもとでご確認ください。

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